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植物が水を吸い上げる仕組みとは?|100m以上の木でも水が上がる

一般家庭への給水には、水道管の水圧を利用して、直接、建物に給水する直結給水方式が採用されていますが、高層ビル、マンションなどでは、水道を使用する場合は、水圧が不足するため、増圧ポンプを設置する必要があります。

一方、植物では、現在、生存している植物の中で最も高い樹木としては、米国カリフォルニア州の100mを超えるセコイアの木が知られています。

このような高い樹木でも、ポンプなど使わなくても、土壌の水や養分が吸い上げられるのはどのような仕組みになっているのでしょうか?

植物が水を吸い上げる仕組み

植物が根から吸収した水を上昇させている原動力として、根圧、蒸散、凝集力が挙げられます。

根圧

植物の重量の80~90%は水が占めています。

植物は、根によって水を土壌から吸い上げます。

根は、効率よく水を吸い上げられるように枝分かれしながら伸び、土壌と接する表面積を大きくしています。

地上部の付け根から伸びるのが主根、そこから枝分かれして伸びるのが側根、その先に生じる細かいひげ根が根毛です。

根毛は、細胞内に糖分、ナトリウム、カリウムなどの物質を多く取り込み、土壌よりも浸透圧が高くなっているため、土壌から根に水が流れ込むようになっています。

植物の細胞は、半透膜で包まれた状態で、細胞液という液体で満たされています。

半透膜は、水は通しても、水に溶けた他の物質は通さない性質をもっています。

半透膜で仕切られた細胞では、細胞の外側と内側で浸透圧が働き、細胞液の濃度が外側よりも濃いときは水を吸収し、薄いときは逆に水が外部にしみ出します。

植物では、浸透圧は、根の内側ほど高くなっていて、根毛が吸い込んだ水は、浸透圧の差によって、根の内側の導管へ運ばれるようになっています。

そして、植物の内部には、導管という水を運ぶ専用の水路があり、この導管を通じて、水は植物の隅々にまで送られます。

浸透圧の差を利用した、水を吸収する力は根から地上部へ水を押し上げる力として働きます。これを根圧といいます。

根圧は、植物の茎を切断すると、切り口から多量に水が出てくる出液と呼ばれる現象や夏の夕方や早朝に植物の葉の先、あるいは葉の縁から、水が湧き出て、水滴ができる現象から確認することができます。

茎基部、あるいは根基部の切り口に圧力計を取り付けると、圧力を測定することができます。

多くの植物で、根圧は0.1~0.3MPaであることが測定されています。つまり根は、10~30mまで水柱を押し上げる力をもっているのです。

しかし、根圧の力だけでは、100 mの高さの木の先端にまで、重力に逆らって水を持ち上げることはできません。

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蒸散

水を吸い上げる力のメインとなっているのは、葉が気孔を開くことによって起こる水の蒸発、つまり蒸散です。

蒸散によって葉の水分が失われると、葉の細胞液の濃度は枝や幹よりも高くなります。そのため、濃度を下げようとする浸透圧が働いて枝や幹から水を引っ張りあげます。

蒸散の盛んな晴天日には、直射光を受けている葉の木部にある水の吸引力は、高さ1mほどの植物でも、 1MPa程度あることが測定されています。

また、干ばつの中で生息している植物では、1.5Mpa、あるいは、それ以上の吸引力が測定されることがあります。

根圧によって根が水を押し上げ、蒸散によって葉が水を吸い上げる力が、水を根から茎、葉へとつながる一本の水柱へと変えていくのです。

凝集力

水の分子は、分子間に静電的引力が働き、お互いに引き合おうとする性質があります。この力を凝集力といいます。

水玉が丸い状態で転がったり、コップの水面が盛り上がって、こぼれない表面張力はその例です。

こうした水の強い凝集力と、導管の壁が水と非常になじみやすい組成をもっていることによって、高い樹木でも根から頂上までの導管内では、気泡を生じることなく水柱がつながり、吸い上げることができるのです。

水の凝集力は、生活に身近な草花でも感じることができます。

花瓶に花を生ける時、茎を切ると水を吸う力が弱まることが知られています。

これは、茎の切断面から空気が入り、水柱が途切れてしまうからです。

それを防ぐための方法が、水の中で茎を切る水切りで、切り花や生け花の世界ではよく知られた手法です。

水切りにより、茎の切断面から先端まで水柱が途切れることなく、凝集力が保たれます。

まとめ

植物が水を高い所へ吸い上げる仕組みは、根の根圧によって、根が水を押し上げ、蒸散によって葉が水を吸い上げる力が、水を根から茎、葉へとつながる一本の水柱へと変えます。

このとき、水分子どうしが引き合う凝集力という力が働きます。

植物の中で水は、一本の水柱となることで、100m以上の高さまで上昇する大きな力を得ています。

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