トイレでティッシュペーパーは流さないで下さい、という注意書きがあったり、それとは反対に、このティッシュはトイレで流すことができます、と謳って販売されているティッシユペーパーもあります。
トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いは何なのでしょうか?
トイレットペーパーは水に溶けるの?
簡単に言うと、トイレットペーパーは水に溶けるので、便器に流すことができますが、ティッシュは水に溶けないので便器に流すと詰まってしまうということです。
トイレットペーパーが水に溶けるといっても、塩が水に溶けるのとは同じではありません。
塩は水に溶けると白い粒が消えて、透明な水になりますが、トイレットペーパーは水に溶かしたつもりでも、水は白く濁ったままです。
厳密にはトイレットペーパーを水に浸すと、トイレットペーパーは絡み合っていた繊維がほぐれてバラバラになり、細かく分散しているだけなのです。
トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いとは?
トイレで水で流すだけであれば、紙は水中で分散していればそれで十分なのですが、できるだけ細かく分散されているほうがよいのです。
トイレットペーパーなどの紙の原料はパルプです。パルプは、木材チップ(小片)を溶かしたものから繊維を取り出して製造しています。
木材は広葉樹と針葉樹に分類され、針葉樹のパルプ繊維は、長さ 3~5 mmの長い繊維であるのに対し、広葉樹のパルプ繊維は長さ 1~2 mmの短い繊維です。
トイレットペーパーは、細かく分散するように、繊維の長さが短い広葉樹から作られています。短い繊維を多く使うことにより、ほぐれやすくし、水に溶けやすくしているのです。
一方、ティッシュペーパーは鼻水などの水分を含んでも破れにくい紙にするために、水に強くしないといけません。このため、繊維が長い針葉樹から作られています。
さらに、湿潤紙力増強剤という薬品を使ってほぐれにくい加工をしています。
湿潤紙力増強剤は、紙をすく時に添加する樹脂(糊)のことで、繊維をくっつけてティッシュが水に濡れても破れにくくなります。
繊維のほぐれやすさとは?
繊維のほぐれやすさは、JIS(日本産業規格)のJIS P4501 でトイレットペーパーの「ほぐれやすさ」の品質基準が規定されています。
ビーカーに300mlの水を入れ、水をマグネチックスターラーという装置で1分間に600回転の速さで撹拌させた状態で、一辺114mm 角の紙の試験片を入れます。
水に試験片を入れると、抵抗により、一旦水の回転は500回転くらいまで遅くなりますが、紙がほぐれてくると再び回転が速くなり、540 回転に回復した時点までの時間を計測します。
紙の試験片を入れてから、540 回転に回復するまでの時間を調べて、100秒以内ならば合格です。
トイレに流せると表示されているものには、ティッシュ以外にトイレクリーナー、便座シート等数多くの紙製品が市販されています。
しかし、「ほぐれやすさ」の品質基準を満足していない紙製品が販売されていることがあり、水洗トイレの詰まりの原因になることがあるので注意しましょう。
海外でトイレットペーパーは流せるの?
海外では便器にトイレットペーパーを流せる国は非常に少なく、先進国以外は殆ど流せないと思った方がよいようです。
トイレットペーパーを便器に流せない理由はトイレットペーパーの紙質以外に、トイレで流れる水の量、水圧、下水管の太さなど、いろいろあるようです。
トイレットペーパーを便器に流して良いかどうかは、トイレの個室に大きなゴミ箱やバケツがあるかないかで判断できます。
大きな箱やバケツのようなものが置いてあったら流すことはできません。
小さなサニタリーボックス程度のものしかない場合は流すことができます。
旅行などで海外へ行く時は注意しましょう。
まとめ
トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いは、トイレットペーパーは水に浸すと、細かく分散するように、繊維の長さが短い広葉樹でできています。
一方、ティッシュペーパーは水分を含んでも破れにくい紙にするために、繊維が長い針葉樹から作られていて、さらに繊維がほぐれにくいように湿潤紙力増強剤という薬品を使ってほぐれにくい加工がされていることです。