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植物のクローンを作る方法は簡単!

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クローンはまったく同じ遺伝子構成のゲノムをもった生物のことをいいます。

身近な例では、一卵生双生児は自然にできたクローンです。

映画、テレビなどのSFの世界では、まったく同じ性質を持つクローン人間が登場しますが、クローン動物をつくるには多くの技術的な課題や倫理的な問題があります。

しかし、植物の世界では、昔からクローンとは意識せずに、クローン植物を作ってきているのです。

ここでは、クローン植物の作り方の例や植物ではなぜクローンが簡単に作ることができるのかを記載しています。

クローン植物を作る方法

挿し木

挿し木は植物から茎の1部分を取り、土に植えることにより繁殖させる方法で、果樹栽培などではよく用いられています。

リンゴのふじ、ナシの二十世紀など、果物の品種にはいろいろありますが、それが品種として認められるためには、味、香り、色艶、形などの見た目が同じでなければなりません。

例えば種子による繁殖では、生まれてくる子が親とまったく同じ遺伝情報をもつ可能性はほとんどなく、子孫をつくるたびに、味、香り、見た目の色、形が変わってしまいます。

挿し木により繁殖させる場合には、元の樹木とまったく同じ遺伝情報をもったものを新たに殖やすことができるので、果樹栽培の現場でこの技術が重宝されているのです。

キク、バラ、ツツジ、アジサイ、イチジクなどが、挿し木で増やしやすい代表的な植物として知られています。

葉挿し、根刺し

茎以外にも、葉を土に挿して育てる葉挿しや、根の一部を地中に埋めて育てる根挿し(根伏せ)という方法もあります。

葉挿しは、セントポーリアや葉に水を多く含む多肉植物の栽培で、根挿しはスミレなどの宿根植物の栽培でよく使われる手法です。

接ぎ木

挿し木をさらに発展させたものが、園芸品種の樹木の栽培でよく使われている接ぎ木と呼ばれる手法です。

接ぎ木は、台木と呼ばれる土台となる木の幹に切り込みを入れ、そこに、育てたい木の幹や枝を挿し込んで育てる栽培方法です。

別々に生育している植物を生きたままつなぐので、接ぎ木と台木は同一植物か近縁種同士という条件があります。

接ぎ木と台木の間の傷は自然に修復され、1つの植物体として再生します。

接ぎ木の上の部分は、元の木と同じ遺伝情報をもっていて、同じ性質をもつ果物の木を繁殖させることができます。

一般に、接ぎ木では、挿し木よりも強い植物をつくることができます。

桜の代表種である、ソメイヨシノは、江戸時代末から明治時代の初めにかけて、当時の園芸家が苦労して、さまざまな種を交配させた末に生まれた品種ですが、原木をもとに接ぎ木により全国に植えられました。

現在、日本中のソメイヨシノは全て同じ遺伝子をもつクローンです。

取り木

取り木は植物の枝や茎の一部を取って殖やす方法です。

取り木する部分のすぐ下の部分の皮を剥いで、その部分に水苔などを巻きつけて乾かさないようにビニールなどで覆って発根させます。根がある程度伸びたら切り取って独立させます。

挿し木や接ぎ木などが難しい植物でも、取り木ならできる種類もあります。

株分け

株分けは、親株から根や茎を切り離し、新しい株をつくる方法です。

植物には1本の幹に枝葉が出るものと、地面から多くの幹枝を出す種類があり、株分けは株立ち性の樹木や地下茎が大きく広がる草木などを殖やすのに適しています。

分球

球根が分かれて増えることを分球といいます。

球根は自分の中に栄養をたくさん貯蔵しており、花が咲いたあとに種子ができるように球根の場合は、親球のまわりに子球ができて増えます。

たいていの球根は、掘り上げると自然に分球して増えているので、これを分離して適時に植えればよいです。

自然に分球することが少ないものでは、切断したり、鱗片をかきとったり、人手を加えて分球します。

以上が植物のクローンを作る方法です。これらは胚、種子を経由せずに根、茎、葉などの栄養器官から、次の世代の植物が繁殖することから栄養生殖と呼ばれています。

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植物ではなぜクローンが簡単に作れるの?

植物の細胞は、葉や茎や根などを構成し、その場にふさわしい形や働きをしています。このように細胞が分裂、増殖し,成長する間に特定の構造や機能をもつようになる現象を分化といいます。

分化した細胞は通常は後戻りができません。芽のない茎から、突然、新しい芽が生まれたりすることはありません。

ある器官に分化した細胞から別の器官を生み出すことのできる能力を、分化全能性と呼びますが、植物の細胞は、その場に応じた形や働きをしていても、分化全能性の能力を潜在的にもっています。

植物に限らず、動物でも全ての細胞の起源となる受精卵は,明らかに分化全能性をもっていますが、その後、動物細胞の分化能力は次第に限定され,分化全能性は失われるとされています。

植物の細胞が分化全能性をもつことは、1958年米国の植物生理学者により示されました。

ニンジンの食用部である根の部分から1個の細胞を取り出し、栄養物を含んだ液で人工的に育てると、カルスといわれる細胞のかたまりができました。

このカルスを人工的な条件で育てると、根、茎、葉などが生まれ、完全なニンジンの植物体ができあがりました。

植物の1個の細胞から、完全な植物体が再び作りあげられることが示されたのです。

以上のように植物の細胞が分化全能性をもっているため、挿し木、接ぎ木などにより、簡単にクローンを作ることができるのです。

まとめ

一般の動物ではクローンを作るのは非常に難しいのですが、植物では挿し木、接ぎ木、取り木、株分けなど昔から行っている手法を使ってクローンを作ることができます。

これは植物体を構成している各細胞は、その場に応じた形や働きをしていますが、一つの植物体をつくる分化全能性の能力を潜在的に持っているため、挿し木、接ぎ木などにより、植物のクローンを簡単に作ることができるのです。

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