アサガオは種子をまくと、まず双葉が出て、本葉が一枚出て、葉を増やしながら、つるを伸ばしていきます。
アサガオの成長が早いのは、つる植物であるためです。
一般の植物は、自力で立たなければならないので、茎を強くしながら成長していきますが、つる植物は、他の物によりかかって伸びていくので、茎を丈夫にする必要がないので、その分のエネルギーでどんどん伸びることができるのです
ここでは、朝顔のつるの巻き方や巻くメカニズムについて記載しています。
朝顔のつるの巻き方は右巻き?それとも左巻き?
アサガオのつるは、常に決まった方向で支柱に巻きついて上に伸びていきます。
この巻き方については、左巻きといわれたり、右巻きといわれたりします。
つるの巻き方を下から見ると、つるの先端は時計の針と同じ向きに回りながら、支柱に巻きついています。時計の針と同じ回り方は右回りです。
また、この巻き方を上から見ると、つるの先端は時計の針とは逆の向きに回りながら上に伸びています。時計の針と逆の回り方は左回りです。
右巻き、左巻きの定義
朝顔の巻き方を左巻きとする場合の定義
つるが巻いている螺旋の中に人が入り、支柱を人に置き換えて考えてみます。
つるは左から右へ反時計回りに、卷いているように見えます。反時計回りは左巻きですから、左巻きと呼んでいます。
さらに、朝顔の卷き方のらせん階段を人が登って行くとき、人は常に左に回って行くことになるので、このことも左巻きの説明になります。
進化論の著書「種の起源」を著したダーウィンは、つるの研究も行っています。
先程の支柱を人に置き換えて、南向きに立ったと考えた場合、朝顔のつるは左から右へ卷いているように見えます。これは西から東へ回っているので、「太陽の動きに逆らう巻き方」と呼び、朝顔の巻き方と逆向きの場合を「太陽の動きに従う巻き方」と呼んでいます。
南半球でも朝顔のつるは同じ向きに巻きますが、南半球では、太陽は西から出て、東に沈むため、ダーウィンのこの表現は南半球では間違いということになります。
朝顔の巻き方を右巻きとする定義
ネジは右へ回すと前進し、左へ回すと後退します。これを物理学では右螺旋と呼んでいます。
この呼び方に従えば、アサガオのつるの巻き方は右螺旋、つまり、右巻きということになるので、アサガオは右巻きとするのが妥当と、パンコムギの合成で有名な遺伝学者の故木原均博士は主張され、現在では朝顔は右巻きと呼ぶのが主流となっています。
つるの巻く向きは何によって決まるの?
アサガオ、ヘクソカズラ、ホップなどのように、つるの巻く向きは植物の種類によって決まっている場合が多いので、遺伝的に決められていると考えられています。
ツルニンジンでは、個体によって巻く向きが違う場合や、アスパラガスの一種では、途中で巻く向きを変える場合もあるようです。
つるの巻く向きは何によって決まるのかはまだ研究が進んでいないため、よく分かっていません。
つるが巻きつくメカニズム
アサガオのつるが支柱に巻きつくには、つるが支柱に接触したことを感知しなければなりません。
つるが支柱に接触したことを感知すると、つるは太く短くなるという性質があります。
アサガオのつるの支柱に接触している面は太く短くなり、接触しない側面がよく伸びるので、接触した面を内側にして巻き込むように曲がり、その結果、つるは接触した支柱に巻きつくことになります。
以上のように、つるが支柱に巻きつく現象は、つるの内側と外側の成長の差に基づいています。
つるの先端はまっすぐ伸びているように見えますが、実際には巻きつくものを探すように、円を描いて回っています。
つるの先端が描く円の幅には、範囲があるため、つるが巻きつく支柱の太さには限界があります。
支柱が細い場合には、つるの描く円の中に入るので、つるが巻きつくことは容易ですが、支柱が太い場合には、つるが描く円の中に支柱が入りきらないと、つるは巻き込むことができないので、つるは巻きつけません。つるが支柱を巻き込める支柱の太さは、直径約10cm以下です。
つるは巻きつくだけでなく、ずり落ちないで、上へと伸びます。
つるがずり落ちないための原動力は、つるが上へ伸びる成長力です。
つるは上へ伸びる成長を続けながら、強く巻きつき、ずり落ちるのを防いでいるのです。
また、アサガオのつるには、無数の細くて、短い毛が下向きに生えていて、下にずり落ちるのを防いでいます。
まとめ
朝顔のつるに巻き方は右巻きです。
つる植物の多くは、つるの巻き方が決まっているので、遺伝的に決まっていると考えられていますが、種類によっては、途中で向きを変えたり、同一品種でも固体により巻く向きが異なるものがあります。
朝顔のつるが支柱に巻き付くのは、つるの接触した面と接触していない面の成長力の違いによります。
つるの先端は巻き付くものを探し求めて円を描いて回っています。
つるが支柱に巻き付くと、上へ伸びる成長力が原動力になり、ずり落ちないでいられます。
また、つるには、無数の細くて、短い毛が下向きに生えていて、ずり落ちるのを防いでいます。