少し年配の方なら、太陽系の惑星を「水金地火木土天海冥」と暗記した人も多いことでしょう。
冥王星は1930年に、米国の天文学者により発見された天体で第九惑星として、惑星に分類されていました。
しかし、2006年に冥王星が惑星から除外され、準惑星に分類されてしまい、現在太陽の惑星は水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つとなっています。
ここでは、冥王星が惑星から除外され、準惑星に格下げされた本当の理由についてご紹介します。
冥王星が惑星から外れた本当の理由とは?
冥王星が惑星から外れた理由は、冥王星の近くに冥王星と同程度の大きさの天体エリスが発見されたからです。
このことにより、冥王星が惑星であることの条件を満足しなくなったからです。
そして、冥王星は惑星から準惑星に格下げされてしまいました。
惑星の定義
2006年8月、チェコのプラハで開催された国際天文学連合(IAU)の総会において、それまで曖昧だった惑星の定義が初めて決定されました。
その定義によると、太陽系の惑星とは
1.太陽の周りを公転していること
2.十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衝形状(ほとんど球状の形)を有している。
3.自分の軌道の周囲から他の天体をきれいになくしてしまい、それだけが際だって目立つようになった天体
冥王星は1.,2.の条件は満足していますが、冥王星の周りには、2003年に発見されたエリスの他に、ハウメア、マケマケなどを含む太陽系外縁天体と呼ばれる天体がいくつも存在しており、3の条件を満足していません。
準惑星の定義
国際天文学連合(IAU)の総会においては、準惑星の定義も以下のように決められました。
1.太陽の周りを公転していること
2.十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衝形状(ほとんど球状の形)を有している。
3.自分の軌道の周囲から他の天体をきれいになくしきれなかった天体
4.衝星でない天体
4.の衛星と言うのは、惑星の周りを公転している天体のことで、例えば地球の場合では、月が衛星です。
1.,2.の条件は惑星の定義と同じです。
この定義により、冥王星は準衛星となり、エリスも準惑星となりました。
なぜ冥王星の発見から70年以上経過して惑星の定義が作られたのか?
1930年に発見された冥王星は、当時の観測技術では地球と同程度の質量を持っていると考えられていました。(実際は地球と比較して質量は約0.0022倍、直径は約0.186倍)
実はその当時、どんな天体を惑星と呼ぶのか、科学的な決まりがない状況で冥王星は惑星と分類されました。
しかし観測技術の進歩に伴い、1992年以降、海王星(冥王星より太陽に近い惑星)より遠い天体が続々と発見されるようになりましたが、それらの天体は冥王星よりも小さく、惑星に分類されることはありませんでした。
そして2005年7月29日、冥王星より大きいエリスという天体の発見が公表されました。発見された当初、エリスの大きさは冥王星より大きいと考えられていました。
このエリスを惑星と呼ぶのか、小惑星と呼ぶのか。小惑星と呼ぶとすると惑星よりも大きな小惑星という変なことになってしまい、そもそも冥王星は惑星なのか?という議論が再燃しました。
そこで、2006年の国際天文学連合では、天体が持つ「重力」の大きさと「形」を基準として 惑星の定義、そして準惑星の定義が決定されました。
以上のように、冥王星が太陽系の惑星から除外されたのは、観測技術が進歩するにつれて、冥王星と似た大きさの天体が発見されたためです。
2006年に開かれた国際天文学連合(IAU)総会で、それまで曖昧だった惑星や準惑星の定義が決定され、冥王星は惑星から除去され、準惑星に分類されました。
しかし、「太陽の周りを公転していること」と定義されたため、他の恒星系には適用できず、また、準惑星と惑星の違いもあまり明確でないなど、依然として異議を唱える人が多くいるようです。
そして、将来惑星の定義が変わって、冥王星が惑星に復活する可能性があるかもしれません。