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クマムシはなぜ最強生物といわれているの?弱点はないの?

クマムシという小さな生物をご存知でしょうか?

南極の昭和基地近くで採取後、30年半の間-20℃で凍結保存されていた苔を解凍したところ、中にいたクマムシが蘇生し、卵を産んで、その卵がふ化し、その子孫が現在も殖え続けているのだそうです。なんとも凄い生命力ですね。

ここでは、最強生物といわれていますが、弱点もあるクマムシについてご紹介します。

クマムシとは

クマムシは体長が1mm以下の微小生物で、熱帯から極寒地、超深海底から高山、海洋、陸水、陸上のありとあらゆる環境で生息しています。

クマムシという名前がついていますが虫ではなく、4対8脚のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩(かんぽ)動物と呼ばれる独特の生きものです。

形がクマに似ていることからクマムシと呼ばれています。

クマムシはクワガタムシとかカメムシといった単体の生物の名称ではなく、1000種類ほどいるものの総称で、昆虫のような節足動物やエビ、カニなどに近い動物です。

これまでの記録では乾眠状態になると9年間も生きた記録があるそうですが、今回の南極のコケから取り出したクマムシは30年半でも生きていたということです。

クマムシの生息地

クマムシは地下鉄の換気口、道端、ブロック塀など身近なところに生えている苔の中によく生息しています。

水がたっぷりあって棲みやすい場所は、たくさんの生物がいて、中には天敵がいるかもしれません。

クマムシは天敵からのがれるために、他の生物が棲みにくい、むしろ干からびた苔によく棲んでいるんです。

クマムシはなぜ最強生物?

低温から高温まで耐えられる

クマムシは乾眠状態では低い方はほとんど絶対0度(=-273.15℃)まで、高い方は151℃まで耐えることが確認できています。

乾燥に強い

クマムシの体の85%は水分です。周囲の水分がなくなると、体内の水分を0.05%まで減らして、乾眠状態というものに入ります。

乾眠状態は生命活動がほとんど停止している状態で、代謝のペースが通常の1万分の1に減速します。

普通の生物では全く水分がなくなってカラカラの状態になった後、水分を与えても蘇生することはありません。

しかし、クマムシではカラカラの状態になっても水分を与えると体が次第に膨らんできて
十数分後には元の状態に戻って動きだします。

乾眠状態から復活する能力のことをクリプトビオシスと言います。

クマムシは他の生物にはない特殊なタンパク質を持っていて、これによって乾眠状態から水分を与えると復活できると考えられています。

乾眠で一時生命活動を停止させ、過酷な環境をやり過ごしながら生きているのです。

30年間凍結していた南極大陸の苔から復活したクマムシも凍結していた間、寿命の時間が止まっていたと考えられています。

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真空から高圧にも耐えられる

クマムシは宇宙空間のような空気のない真空状態で約10日間生きられることが確認されています。

さらに、75,000気圧にまで耐えられことも確認されています。

放射線に強い

人間の放射線の致死量は500レントゲンですが、クマムシでは57万レントゲンにも耐えることができます。(1レントゲン=0.01シーベルト)

2007年に数千匹のクマムシを人工衛星に乗せ、生命を奪う恐れがある宇宙放射線に直接さらされましたが、地球に戻ったクマムシの多くが生存し、一部の雌は後に卵を産んで健康な子孫を誕生させました。

最近になって東京大学の研究者がクマムシに特有のタンパク質が、人間のDNAを放射線による損傷から保護する働きを持っているという研究成果を発表しました。

このたんぱく質はDsup(Damage suppressor)と命名され、このタンパク質とともに培養したヒト細胞が、放射線を照射された際に受ける損傷が通常の細胞の半分に抑えられることが分かりました。

電子レンジでチンしても平気

電子レンジは水分子を振動させて、その分子間の摩擦熱で 温度を上げる仕組みです。

クマムシを乾眠状態にすると、体内の水分はほとんどないので、電子レンジの影響は受けないというわけです。

クマムシの弱点

寿命は短い

クマムシは過酷な環境になって、休眠状態では9年も生き続けます。しかし、快適な環境ではクマムシの寿命は1ヶ月~1年ほどで長くありません。

自力で元の状態に戻れない

一旦乾眠状態になると、自力では元の状態に戻ることができません。

外部から水分を与えない限り、元の状態に戻ることはできないのです。

通常の状態ではデリケート

通常の状態ではクマムシは非常にデリケートで、水質が悪くなるとすぐ死んでしまいます。

また、餌は特定のものしか食べないため、飼育するのが難しいのです。

以上のようにクマムシが最強といわれるのは、乾眠状態でのことで、乾眠状態でない通常の状態では弱点だらけのデリケートな小さい生き物なのです。

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