PR
スポンサーリンク

樹木が紅葉する仕組みとは? 黄葉とどう違うの?

秋になって気温が下がってくると、多くの樹木が紅色や黄色に色づき、紅葉、黄葉を見に来る人たちでにぎわいます。

ここでは、冬の前に樹木が落葉する理由や紅葉の仕組み、黄葉との違いなどをご紹介します。

樹木の分類

樹木は葉の形や構造によって、針のように細い葉を持つ針葉樹と、表面積の大きい葉を持つ広葉樹とに分けられます。

季節で変わる葉の状態に注目した分け方としては、1年中緑の葉を持つ常緑樹と、秋から冬に葉を落とす落葉樹があります。

針葉樹のほとんどは常緑樹ですが、広葉樹には常緑樹と落葉樹があり、それぞれを常緑広葉樹、落葉広葉樹と呼びます。

秋になると葉の色が変わるのは落葉広葉樹です。

樹木の葉はなぜ緑色をしているの?

葉が緑色に見えるのは、光合成を行う葉緑体のなかにあるクロロフィルという色素があるためです。光が強くなると葉緑体が増えてこの色素も増えるので、夏には葉の緑がより濃くなります。

落葉広葉樹の紅葉、黄葉した葉は、しばらくすると落葉します。

紅葉、黄葉する仕組みの前に、葉が落葉する理由をみてみましょう。

樹木が落葉する理由

冬が近づくと、温度が低くなり、雨が少なく、乾燥しがちな条件では、光合成の効率が悪くなります。そのまま葉をつけて光合成を続けても、生産できるエネルギーはそれほど多くありません。

葉が光合成で生産するエネルギーより、葉をそのまま維持するのに必要なエネルギーの方が多くなります。また、葉をそのままにしておくと、葉から水分が蒸発して、水が不足して樹木が枯れてしまう可能性もあります。

そのため、落葉樹では自ら葉を落とし、できるだけエネルギーを消費しないように冬をやり過ごすようなプログラムが遺伝子の中に組み込まれているのです。

葉を落とす前に、葉の中に含まれている栄養分を再利用するため、葉の光合成色素を分解して、木の幹に回収する期間が紅葉や黄葉の期間なのです。

落葉は、葉の付け根に離層と呼ばれる組織がつくられ、そこで葉が茎から離れることで引き起こされます。

スポンサーリンク

樹木の黄葉の仕組み

葉には種々の光合成色素が含まれていて、主なものが緑色のクロロフィルと、黄色のカロテノイドです。

若い葉ではクロロフィルの緑の色が強く出て、カロテノイドの黄色は目立たないので、緑色に見えるのです。

葉の落葉の時期が近づくと、光合成色素のなかではクロロフィルがカロテノイドより優先的に分解されます。

植物は入手しにくい、マグネシウム、窒素、リン、カリウム、カルシウムなどのミネラル分を優先的に回収しょうとします。

植物は通常これらのミネラル分を土の中から根を通して吸収しますが、自然環境においては、土壊中にミネラル分が常に豊富に含まれているとは限らず、いちど体内に取り込んだものは大切に何度も使おうとします。

クロロフィルには、ミネラル分のマグネシウムが含まれていますが、カロテノイドにはミネラル分が含まれておらず、クロロフィルの方が回収の優先順位が高くなっているのです。

このため、クロロフィルが分解されて少なくなり、葉の緑色が薄くなり、カロテノイドの黄色が目立つようになり、黄色く色づきます。これが黄葉です。

太陽からの光エネルギーは光合成に使われますが、光エネルギーが強すぎると、使い切れない光エネルギーは行き場を失い、植物の体を傷つける活性酸素をつくるようになります。

クロロフィル、カロテノイドなどの光合成色素は、光のエネルギーを吸収し、光合成を行いますが、活性酸素の発生を抑える抗酸化作用の働きもしているのです。

葉に含まれる全ての光合成色素を分解してしまうと、抗酸化作用がなくなってしまいます。

そうなると、大量に発生する活性酸素により細胞が壊れてしまい、栄養素を再利用することができなくなってしまうので、優先度の低いカロテノイドは分解せずに残していると考えられています。

以上のように、イチョウ、ケヤキ、ポプラなどの樹木が見せる黄葉は、葉のクロロフィルが分解されて、カロテノイドだけが残った状態の葉なのです。

樹木が紅葉する仕組み

落葉広葉樹のうち、モミジ、カエデなどは、葉が落ちる前に緑色から鮮やかな赤に葉の色を変えます。

厳密にいうと、これらの葉は緑色からいきなり紅葉するのではなく、黄色に変化した後、紅葉するのです。

紅葉は、黄葉の仕組みで記した、クロロフィルの分解と並行して、紅い色素であるアントシアンが新たに生成されることによって起こる現象です。

葉の色が濁った赤から鮮やかな赤へと変わるのは、葉に含まれるカロテノイドが減少し、アントシアンが増えるからです。

カロテノイドはクロロフィルより回収の優先度は低いのですが、クロロフィルに遅れて分解されます。

カロテノイドは葉緑体のタンパク質と結合して存在するのに対して、アントシアンは、タンパク質とは結合せずに存在し、ありふれた元素からなっているため、回収を必要としませんが、カロテノイドと同様に抗酸化作用を持っています。

このため、分解されてゆくカロテノイドに代わるものとして、アントシアンが生成されていると考えられています。

紅葉と黄葉の違い

紅葉と黄葉の違いは,黄葉は葉からクロロフィルが抜けた状態であるのに対して、紅葉はクロロフィルが分解されるのと並行して紅いアントシアンが生成された状態ということです。

まとめ

樹木の中で落葉広葉樹は冬越しのために、落葉します。

葉を落とす前に、葉に残っている光合成色素の栄養素を樹木の本体に回収する期間が黄葉、紅葉です。

葉の光合成色素の主なものは緑色のクロロフィルと黄色のカロテノイドですが、緑色が勝っているため、葉は緑色に見えます。

落葉の前にクロロフィルが分解されてなくなると、カロテノイドが残るので黄色く見えます。これが黄葉です。

クロロフィルの分解と並行してアントシアンという紅い色素を生成する落葉樹の葉は紅くなります。これが紅葉です。

タイトルとURLをコピーしました