ザリガニというと子供の頃、近くの河川や湖でスルメを餌にして獲ったことがあると思いますが、昔から日本人はザリガニを昆虫など同様、獲ったり、飼育する対象としか見ていません。
海外ではザリガニは高級食材で通っていて、よく食べられています。ザリガニが生息している国でザリガニを食べないのは日本人くらいのようです。
日本で生息するザリガニの種類
日本にはニホンザリガニ、アメリカザリガニ、ウチダザリガニの3種類のザリガニが生息しています。
ニホンザリガニ
日本で生息している3種類のザリガニのうち唯一の在来種で、体長は約7cmです。
かつては北日本の身近な場所にもたくさんいたのですが、今は宅地開発などの影響で生息地が急速に失われたり、外来種のウチダザリガニに食べられるなどして絶滅の危険が増し、2000年に環境省のレッドリストで絶滅危惧種2類に指定されています。
現在日本では北海道と青森、秋田、岩手の各県でのみ生息が確認されています。
アメリカザリガニ
北アメリカ原産で、体長は約10cmです。
1927年にウシガエルのエサとして日本に持ち込まれ、本州以南では急速に広まりました。
現在では田んぼ、用水路などでよく見られるザリガニはアメリカザリガニです。
ニホンザリガニとは生息地が重ならず、外来生物法の対象外ですが、生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるため、厳重に注意しなければならない生態系被害防止外来種リストに記載されています。
ウチダザリガニ
北アメリカ原産で、体長は約15~18cmです。
1926年食用のため米国から北海道や滋賀県などに持ち込まれました。
あらゆる環境に適応し、魚類、エビや水生昆虫、水草などを食べ、急速に生息範囲を広げています。
現在では北海道、滋賀県以外では千葉、長野、栃木、福島の各県で生存が確認されています。
ニホンザリガニと生息地が重なる場合があり、生態系や農林水産業に大きな影響を及ぼすとして2006年に特定外来生物に指定されました。
このため外来生物法により、許可を受けた場合以外には飼育、運搬、販売、譲渡、野外への放出などが禁止され、違反すると罰金などが科せられます。
釣ってその場で食べるのは問題ありませんが、釣った後、生きたままの状態で車などで移動させるのは法律違反となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。また、無許可で養殖や販売をすると1億円以下の罰金が科せられます。
ザリガニを食べる国は?
北欧
スウェーデンではかつて一年を通してザリガニ漁が行われてきましたが、乱獲がたたって、絶滅の危機に陥ったため、現在では8月と9月の2ヶ月のみ捕獲が認められています。
毎年8月になるとザリガニ漁の解禁を祝ってザリガニパーティーが開かれます。
ザリガニは塩水でゆでて、新鮮なディルなどの香草で風味をつけ、冷めてから手づかみで食べます。
スウェーデン生まれの家具チェーン店イケアでも毎年8月になると、恒例のザリガニパーティーが開かれます。日本のイケアでも地元スウェーデンでのパーティーを忠実に再現し、スウェーデンの伝統料理が味わえると大好評だそうです。
中国
中国では若い人を中心にザリガニは大変人気があります。
中国のザリガニは昔から生息しているではなく、1930年代~1940年代にかけて日本から中国に持ち込まれたようです。
中国の中高齢以上の人はザリガニを食べる習慣がなく、食べるのはもっぱら1980年代以降に生まれた若い人たちです。
ザリガニの旬は初夏から9月にかけてで、夏の風物詩になっています。
上海にはザリガニの専門料理店もあり、油で揚げてダシに付け込んで味付けされます。
上海のザリガニの多くは長江で育った養殖ものです。
生きたまま店に運ばれてきます。そのままでは泥臭いので水洗いされます。
2015年にはザリガニを洗浄する専用の洗濯機が開発されたことが日本でも話題になりました。
フランス
ザリガニはフランスではエクルビスと呼ばれ、ロブスターと並んで高級食材として扱われています。
ザリガニは身が美味しいだけでなく、殻から濃厚なソースがとれるとして重宝されています。
米国
米国では南部を中心にザリガニはごく普通に食べられています。
現在、食用のザリガニはほとんどルイジアナ州で養殖、生産されていて、世界のザリガニの95%がルイジアナ州で消費されています。
野菜と一緒に炒めて食べるのが一般的で、特に3月から4月によく食べられているようです。
まとめ
日本ではあまり食べられないザリガニですが、海外では高級食材として広く親しまれています。特にアメリカ南部やヨーロッパの一部では、ザリガニを使った伝統的な料理が存在し、その味わいが多くの人々に愛されています。
ザリガニは淡水に生息し、独特の甘みとプリプリとした食感が特徴であり、料理法も多岐にわたります。例えば、ボイルしてシンプルに味わう方法や、スパイシーなシーズニングと共に調理する方法などがあります。
日本でも一部のレストランや専門店でザリガニ料理を楽しむことができるようになってきていますが、その存在はまだまだ知られていません。今回の記事を通じて、日本人にもこの美味しい食材をもっと知ってもらい、その魅力を楽しんでいただければ幸いです。ザリガニを通じて、食の幅が広がることを期待しています。