流れ星が流れている間に願いごとを3回唱えると、願いが叶うといわれています。
この流れ星の正体は一体何なのでしょうか?
また、どのような原理、仕組みで発光するのでしょうか?
流れ星(流星)の正体は?
流れ星は流星とも言います。
流星は、ちょうど夜空の星と同じ程度の明るい物体が突然現れ、すばやく一直線に移動して消滅する現象です。
一見すると、星が流れたように見えますが、夜空に輝く一般の星と流星は全く別の物です。
夜空の星は恒星といい、太陽のように自ら光り輝く天体です。太陽を何光年もの彼方に移動させると、恒星のように光って見えます。
流星のほとんどは宇宙に漂う数mmから数cmくらいの大きさの塵の粒が、地球の大気圏とぶつかって光り輝くため、距離的にはとても近い現象です。
発光する高度は100km前後です。
塵の粒の重さは、正確には分かっていませんが、地球を取り巻く宇宙空間から塵の粒を採取したところ、塵の多くは、砂や石のような硬いものではなく、綿のようなふわふわとした構造であることが分かっています。
このことから、通常の流れ星の重さは0.1gから重くても1g以内ではないかと推定されています。
塵の粒はどこから来るの?
流星のもとになっている塵の粒を流星物質と呼びますが、流星物質は 彗星や小惑星から放出されたものです。
彗星は、夜空に尾を引くことから、ほうき星ともいわれ、細長い楕円の軌道を描きながら、太陽の周りを長い年月をかけて回わっています。
彗星の核の部分は、汚れた雪だるまといわれ、大量の氷やドライアイス、塵などが混じった状態になっています。
太陽の熱により、核から氷やドライアイスなどが揮発して吹き出す時に、塵も吹き出します。太陽に近づくにつれて、吹き出す量は増加していきます。
一方、小惑星はその名が示すように、小さな惑星で、大きさは普通の惑星などに比べると小さいですが、惑星と同様、太陽の周りを回る天体です。
小惑星から流星物質が放出されるのは、何かが小惑星に衝突したときです。
天体同士の衝突はそれほど頻繁に起きませんが、小惑星は非常に数が多いので、小さな天体と衝突することがあり、その際に破片が飛び散り、流星物質となるのです。
このような彗星や小惑星から放出した塵の粒がどのようなタイミングで地球に飛び込んでくるのかを予測することは難しく、いつ流星を見られるのかは分かりません。
では、字宙の塵である流星物質がなぜ発光するのでしょうか?
流れ星の発光の原理、仕組み
彗星や小惑星から放出された流星物質は、大気圏に秒速数十kmという猛スピードで突入します。
大気圏に突入した流星物質は壊れ、次々と大気中にある気体分子に衝突し、それらを蹴散らします。
この時に流星物質も大気も、衝突のエネルギーにより、気体分子が電子が引きはがされて、励起状態と呼ばれるエネルギーの高い状態になり、プラズマ状態になります。
プラズマ状態は不安定な状態なので、すぐに周囲の原子、分子と反応して安定的なエネルギーの低い基底状態に戻ります。
励起状態から基底状態へ戻る際にそのエネルギーの差が光となって放出されます。
この時、流星物質に含まれていた原子だけでなく、大気中の原子も発光します。
最終的に、このように流星物質は地表に到達することなく途中で燃え尽きます。
プラズマとは?
プラズマは固体、液体、気体に続く物質の第4の状態です。
原子にエネルギーを与えると固体→液体→気体と順にエネルギーの高い状態なっていきます。
私たちの身の回りのものは、この3つの状態にあるのがほとんどです。
しかし、さらにエネルギーを加えると電子は原子の束縛を振り切り、自由に動き回ることができ、プラスの電荷をもったイオンとマイナスの電荷をもった電子に別れてしまいます。
これが物質の第4の状態でプラズマと呼ばれています。
オーロラ、雷などの自然現象はプラズマの例です。
また、蛍光灯は、ガラス管の両端に設置された電極に電圧を加えることにより、グロー放電を起こさせ、水銀をプラズマ状態とし、紫外線が発光することを利用しています。
まとめ
流れ星(流星)の正体は彗星や小惑星から放出された塵の粒(流星物質)です。
流星物質が、猛烈な速度で地球の大気圏に突入し、その時のエネルギーにより、分子や原子の中の電子がエネルギーの高い励起状態になり、一時的にプラズマ状態になります。
プラズマ状態は不安定なため、安定なエネルギーの低い基底状態に変化します。
このエネルギー差により、流星物質や大気の原子が発光します。これが流れ星(流星)が発光する原理、仕組みです。