カッコウは日本では古くからに慣れ親しまれ、俳句の季語にもなっていて、
ヨーロッパでは春を告げる鳥とされている野鳥です。
ここでは、渡り鳥としての生態、生息地、鳴き声などについて記載しています。
カッコウは渡り鳥
カッコウは春に繁殖のために南方から日本にやってき、秋になると南方の方へ戻っていく渡り鳥です。
カッコウのように春に日本に渡来し、秋に帰っていく渡り鳥を夏鳥といいます。
夏鳥には、カッコウ以外にツバメ、ホトトギス、ヨシキリなどがいます。
一方、秋に北方より日本に渡来して、春に再び北方に戻っていく渡り鳥を冬鳥といいます。
日本における渡り鳥の割合は、はっきりとはわかっていないようですが、鳥類全体の約40%くらいが渡り鳥だといわれています。
カッコウはどこから来るの?~生息地
カッコウはユーラシア大陸(アジア、ヨーロッパ)やアフリカに生息しています。
日本の冬場はアフリカや南アジアで生息し、4~5月になると繁殖のために日本に飛来します。
日本では北海道から九州までの各地の山林や高原、平地や住宅街にも生息しています。
秋になり、だんだん寒くなっていく9~10月頃に、アフリカや南アジアなどの元の場所に戻っていきます。
どれくらいの距離を飛ぶの?
英国とモンゴルの鳥学者によると、カッコウの脚にGPSタグをつけて、アフリカ南部のザンビアからモンゴルの繁殖地までの約12000kmを平均時速60kmで飛んだことが観察されています。
カッコウの生態
カッコウはカッコウ目カッコウ科に分類される野鳥です。
クチバシの先から尾の先までの全長は33~35cmで、鳩より少し大きめです。
尾は長くてくさび型の形状をしています。
胸と腹は白くて背中と同じ色の細い横縞模様があります。
翼と尾の部分は黒褐色で、メスはのどの部分に赤褐色がはいります。
鳥の足の指は通常前に3本、後ろに1本ありますが、カッコウは前後に2本ずつあり、
木にしっかりとつかまりやすい構造になっています。
寿命は約6年です。
見た目はホトトギスやツツドリに良く似ていますが、鳴き声に特徴があるので、見分けがつきます。
カッコウは他の鳥が見向きもしないような毛虫など、多くの害虫を好んで食べる益鳥としての側面ももっています。
カッコウは体温保持能力が低いことで知られており、外気温や運動状態により体温が変化し、1日に10℃くらい変動するようです。
カッコウの一番の特徴は、自分の卵を他の鳥の巣に産んで、他の鳥に育てさせる托卵(たくらん)という習性があることです。
カッコウが托卵する理由は、体温保持能力が低いので、自分では卵を孵化させられない可能性があるからという説があります。
カッコウの鳴き声
鳥の鳴き声には「地鳴き」と「さえずり」があります。
「地鳴き」は日常的な鳴き声で、オスもメスも、成鳥もひなも出します。食物をねだったり、飛び立ち、恐怖、なだめ、威嚇、仲間を呼ぶ時などの鳴き声です。
「さえずり」は歌(song)とも呼ばれ、遠くまで届く鳴き声で、オスが繁殖期やなわばりを主張する時に使う鳴き声です。
カッコウの地鳴きはオスもメスも鋭く「ピピピピピ」と鳴いたり、高い声で「ピヨピヨピヨ」と鳴いたりします。
「カッコウ、カッコウ」はカッコウのオスのさえずりです。
カッコウは漢字ではどう書くの?
カッコウは漢字で「郭公」と表記します。
カッコウは、オスの鳴き声が「カッコウ」と聞こえることから、その鳴き声に由来する名前です。
中国ではカッコウを「郭公」と表記しますが、昔の日本ではカッコウはホトトギスのことを指していて。万葉集では「郭公」と表記されているのはホトトギスのことでしたが、近代になって日本でもカッコウを郭公と表記するようになりました。
閑古鳥はカッコウの別名
お店などのお客さんの入りが悪く、商売がうまくいってない様子を「閑古鳥が鳴く」といいますが、この由来は、カッコウの鳴き声がもの寂しい印象を与え、また人里離れた静かな山間にその鳴き声が寂しげに響くさまから、言われるようになったそうです。
また、「かっこうどり」がなまって「かんこどり」になったという説もあります。